コラム
- 22-03-02
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中小企業でも取り組みやすい!!新入社員の離職防止策とは!?
まもなく4月、新入社員の受入れの時期を迎えます。
現在、日本では、大卒者の3割、高卒者の4割の方が、入社後3年以内で離職しています(厚生労働省の調査より)。
若年者の早期離職の背景には様々な要因が絡み合っているため、企業のみの努力で防ぎきることができるわけではないでしょう。
しかし、早期離職は、育成にかかったコストはもちろんのこと、採用や受け入れにかかわった社員にとっての精神的なストレスになるなど、企業としては避けたいものです。
なお、この離職率ですが、企業規模が小さいほど、離職率が高いということも分かっています。また、大手企業・中堅企業では、教育訓練により離職の防止、生産性の向上に効果があったという調査結果も見られます。
それでは、十分な教育訓練の機会を提供できない中小企業ではどのような対応ができるのでしょうか。
■ 個別に対応できることを強みに
中小企業の場合、新入社員の受入れ人数が少ないため、自社で講師を招いて集合研修を企画・実施しようとすると費用的に割高になります。しかし、社外で行われる合同研修は開催日が限定されていたり、内容が自社の事業や風土に合わなかったりで、一般的なマナー研修など限定的な活用になることが通常です。
そこで、ぜひ、取り組んでいただきたいのが、「人材育成計画書の作成」です。
会社全体としての人材育成計画があればそれに紐づける形になりますが、仮に組織としての人材育成計画が整っていなくても問題ありません。
この計画書は、新入社員ひとり一人に対して作成します。その分、個人の特性や職場の状況に応じた取り組み内容が設定できる点がポイントです。そして、何より、費用や時間もそこまでかかりません。
作成者は、育成担当者(OJT担当者)が理想ですが、人事部門が作成することもできます。作成する過程では、育成担当者に加えて、配属先の管理職、採用に携わった人事部門の社員や面接官からの意見も反映できるといいでしょう。
人材育成計画書を作成する第一の目的は、育成担当者が担当する新入社員の人物像の把握や育成の具体的なイメージを持つことです。また、その内容を上司や同僚とも共有することで、職場における新入社員の受入れの指針にします。そのため、業務に必要な知識やスキルだけでなく、定着支援としての人とのかかわりやメンタルヘルスケアについても計画に含めます。
人材育成計画書をもとに、新入社員とも面談を行い、入社後の取り組みや目標を共有することも重要です。
また、1か月ごとに、計画の進捗を確認して、計画の修正や追加を行うとよいでしょう。
■ 職場全体でかかわることで成長を促進
人間的な成長は、様々な人とのかかわりの中から影響を受けることで促進する側面があります。ですから、上記の「人材育成計画書」の作成では、デベロップメンタル・ネットワークの構築を意識した計画を盛り込みます。
デベロップメンタル・ネットワークとは、新入社員の成長を支援する新入社員を中心としたネットワークです。ネットワークには、上司や育成担当者(OJT担当者)以外にも憧れの先輩や事務的なやり取りをする社員など、役割として育成を担っていない関係の人たちも含まれます。
日常的なかかわりの中で、新入社員自身が「支援されている(そのかかわりが役立っている)」と感じていればデベロップメンタル・ネットワークに含むことができます。仕事のモチベーションや成長実感にも関係する人間関係です。その意味では、同期入社の仲間の存在や家族の理解なども大きな影響があります。職場における新入社員の定着度合いを見極めるためにも、育成の過程ではデベロップメンタル・ネットワークの状態を確認しましょう。
また、ネットワークで育成するという視点は、育成担当者(OJT担当者)の負担感を軽減する効果もあります。人材育成のための資源が少ない中小企業の場合、どうしても育成担当者(OJT担当者)一人に新入社員への対応を任せがちになります。しかし、多くの中小企業では、育成担当者(OJT担当者)は、通常の業務に加えて新入社員への指導やフォローをする状態ではないでしょうか。
だからこそ、上司や人事部門が主導して、育成計画書という形で計画を共有して、定期的に取り組みを振り返る必要があります。そうした取り組みの継続が、育成担当者(OJT担当者)の育成にもつながり、且つ、会社や職場に合った育成スキルとなって蓄積されます。
ぜひ、まずは、育成計画書の作成から始めてみてください。
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