コラム
- 24-05-22
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EAP(従業員支援プログラム)を活用した治療と仕事の両立支援
「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査(企業調査)」(独立行政法人労働政策研究・研修機構、2018年7月)によれば、過去3年間で調査対象とした疾患に罹患している者が「いる」とする企業割合は、「糖尿病」(25.2%)、「がん」(24.3%)、「心疾患」(10.7%)、「脳血管疾患」(8.3%)、「難病」(8.0%)、「肝炎」(4.6%)となっています。多くの企業で、治療と仕事との両立で支援が必要な従業員がいることがわかります。
また、同調査によれば、治療と仕事の両立支援制度の課題(複数回答)は、「休職者の代替要員・復帰部署の人員の増加が難しい」(54.3%)、「休職期間中の給与保障が困難」(48.9%)、「治療と仕事を両立するための制度が十分でない」(42.2%)、「治療のための休みをとりやすい体制確保が困難」(30.4%)などとなっています。病気を抱える個人への支援はもちろんのこと、職場全体を支援していく仕組みが必要となっています。
参考)「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査(企業調査)」(独立行政法人労働政策研究・研修機構、2018年7月)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2018/181.html
◎EAP(従業員支援プログラム)での治療と仕事の両立支援
EAP(従業員支援プログラム)は、主に心理的な支援を必要とする個人への支援(カウンセリング)と、そういった支援を必要とする従業員を抱えた組織への支援(コンサルティングや研修など)を同時並行で行う包括的なプログラムです。病気の治療と仕事の両立支援においてもその機能を活用して、従業員と組織の支援を行うことができます。例えば、病気治療のために休職をした後、復職をされた方の支援などで、企業内の担当者と連携した支援を実施するなどの対応ケースは増えてきています。
個人に対する病気の治療と仕事の両立の支援では、心理面へのケアだけでなく、キャリアの視点からの支援も重要となってきます。これまで描いてきたキャリアビジョンや人生設計を見直す必要に迫られますし、治療と両立できる無理のない働き方を再構築していく必要があります。キャリア支援とメンタルケアの両方での支援が可能なEAPカウンセラーの存在が力になるでしょう。
また、組織に対しては、病気の治療を抱える従業員だけでなく、管理職を始め、その周囲の従業員への支援も視野に入れる必要があります。休職に伴う代替要員の確保や体制の調整はもちろん、勤務ができていたとしても体調に応じた配慮が必要な場合も多いでしょう。そういった中で周囲が負担をため込んでしまうと組織への不信につながりかねません。それを避けるためにも会社としての方針を明確に示すことで、一人ひとりが大切にされる組織づくりを目指していきたいところです。EAP(従業員支援プログラム)の導入は、そういった会社の姿勢を示すことにつながります。
関心をお持ちいただけたら、ぜひ、一度、お問合せください。